複合機のリース更新は、リース会社から届く満了通知で始まる。公益社団法人リース事業協会は、リース期間満了の2〜3カ月前にリース会社から通知が来て、使い続けるなら「再リース」、終えるなら返還を選ぶと説明している(2026-10-15確認)。自分は勤務先で担当している複合機の更新で、満了の3カ月前に販売店3社へ見積もりを出し直し、リース料とカウンター料金を1枚の表に並べて比べた。結論から書くと、月額の安さだけでは更新の損得は決まらない。決め手は、これから何年使うかと、更新のときだけ出てくる費用だった。

更新の判断は、満了通知が届いてからでは遅い

満了の2〜3カ月前に通知が届いてから動くと、3社の見積もりを取り直して社内で比べる時間が足りない。更新の準備は通知の前に始める。

リース事業協会は、ファイナンス・リースの仕組みを、利用者・リース会社・販売会社の三者が関与する取引と説明している。リース料は「(物件価格+金利+固定資産税+保険料+管理費・利益)÷リース期間(月数)」で決まり、期間中の解約はできず、合意解約では残リース料またはこれに相当する違約金を一括で払う条項が契約に定められるという(2026-10-15確認・リース契約の特徴)。

つまり更新の比較は、新しい案の月額を並べる作業ではない。何年使うか、その間いくら払うか、途中でやめる余地があるかを確かめる作業になる。月額は期間で割った結果にすぎない。

更新の登場人物も分けておく。見積もりを出すのは販売店、契約と支払の相手はリース会社、故障対応の相手は保守を担当する会社になる。販売店側の案内でも、申し込みのあとにリース審査があり、設置後にリース会社から設置内容の確認が入ると説明されている(2026-10-15確認・導入までの流れ)。値引きの相談先と、契約条件を決める相手は同じではない。

更新のときにだけ出てくる5つの費用

更新の比較表は、見積書の項目を写すだけでは足りない。更新でだけ発生する次の5行を足しておくと、あとから「聞いていなかった費用」が出にくい(2026-10-15確認)。

比較表に足す行 更新でだけ問題になる理由 確認できる一次資料
二重に払う月 旧契約の終了と新契約の開始がずれると、同じ月に2件分のリース料が発生する 支払開始は物件借受証の日と説明されている(リース契約の特徴)
搬出・撤去費 返還するときは、利用者の負担でリース会社が指定する場所へ戻す リース契約の特徴
再リース料 使い続ける場合の再リース料は低価格と説明されているが、金額は契約ごとに違う リース契約の特徴
6年目以降の保守チャージ 5年の契約期間が切れたあとの増額率が公開されている機種がある リコー保守サービス
返還する機種の内蔵データ 返還前のデータ消去は契約書と返還手順の確認事項になる この記事では一次資料を確認できていない

二重に払う月は、見積書の総額には出てこない。満了日と設置日のどちらを先に置くかで1か月分の差が出るので、日程の欄を比較表に作って両方の日付を書き込む。自分の更新でも、この行を足したことで設置日を1週間後ろにずらし、旧契約の終了月と重ならないようにした。

この記事だけの材料

リコーの公開条件では、5年のパフォーマンス契約が切れたあとの6年目はチャージが8%増、7年目以降は12%増になる。月2,000モノカラー・300フルカラーの仮定では、5年目までの月29,750円(税別)が6年目32,130円、7年目以降33,320円になり、1か月あたり2,380円と3,570円増える(2026-10-15確認・リコー保守サービス)。

期間 月額(税別・仮定) 12か月の合計 5年目までの月額との差
1〜5年目 29,750円 357,000円 —
6年目(8%増) 32,130円 385,560円 +2,380円
7年目以降(12%増) 33,320円 399,840円 +3,570円
6〜8年目の3年合計 — 1,185,240円 +114,240円

計算の前提は次のとおり。入力はリコー公式の公開単価だけで、基本料金11,700円、モノカラーは500カウントまで9.4円・501〜4,000カウント7.9円、フルカラーは1,000カウントまで44.0円。月2,000モノカラー・300フルカラーの片面出力、税別、テスト・不良出力の控除0.3%は含めない。公式ページは「基本料金とカウンター料金のどちらか高い金額」をパフォーマンスチャージとし、そのチャージに更新後の率を掛けると書いているため、上の月額はその読み方で計算した。計算はKumyuが表計算で行い、2026-10-15に確認した。

注意は2つある。この数字は1社1機種の公開単価を仮の出力に当てた計算で、実際の見積もりでも請求額でもない。そして公開文の書き方では増額は「チャージ」に掛かるため、月の出力が少なく基本料金が適用される月も同じ率で上がる扱いになる。個別契約での扱いは契約先に確認する。

実際に販売店3社の見積もりを取り直した

条件を1枚のメモに固定して3社へ出したところ、返ってきた3通は月額の並びが違い、いちばん安い案は撤去費と最低カウントで条件を削っていた。条件をそろえずに取った見積もりは、金額が並んでいても順位を決められない。

流れはこうだった。9月中旬にリース会社から満了3カ月前の案内が届き、まず現行機の直近12か月のカウンターを集計した。月平均でモノカラー約1,800枚、カラー約240枚、うち両面が出力全体の4割弱、A3は月60枚ほど。この4つの数字を出しておくと、見積書のカウント定義と突き合わせられる。

依頼メモに固定したのは、機種クラス(A3カラー・毎分30枚クラス)、月間のモノカラー枚数とカラー枚数、両面は2カウント・A3は1カウント、保守範囲(トナー・感光体・定期点検・訪問修理まで)、リース期間5年、撤去費の負担、見積書の有効期限の7項目。条件を書かずに「安くしてほしい」とだけ伝えると、返ってくる見積書の土俵がばらつく。

3社の反応はそれぞれ違った。A社は翌営業日に電話でヒアリングがあり、2日後に見積書が届いた。B社は訪問しての提案を希望し、日程調整に1週間かかった。C社はメールだけで完結し、その日のうちに概算が出た。速さはC社、質問への回答の具体性はA社だった。

3通を1枚の表に転記すると、差が出たのは金額の前に次の4項目だった。

  • 最低カウント。A社は月500カウント、B社は月1,000カウント、C社は最低カウントなしで基本料金のみ。実績の少ない月があると、この違いがそのまま総額に出る。
  • 両面の数え方。B社だけが両面1カウントと回答した。同じ出力でも他社とはカウント数が変わるため、そのままでは並べられない。同じ定義で出し直してもらった。
  • 撤去費。A社とC社は「別途」、B社は「リース期間5年以上ならサービス」。満了時の費用なので、5年総額には入るが月額には出てこない。
  • 見積書の有効期限。1社は発行から2週間、2社は1か月。期限がそろわないので、いちばん早い期限に合わせて社内の判断日を決めた。

直近12か月の実績を当てて総額に直すと、5年総額ではA社が最も低く、8年総額ではB社が逆転した。理由は2つで、B社の最低カウントが実績に対して効かなくなることと、6年目以降に保守チャージが上がる前提で見るとB社のカウンター単価の下がり方が大きいこと。月額だけを並べていたら、この入れ替わりは見えなかった。

稟議では、月額ではなく5年と8年の総額、条件をそろえた比較表、選んだ理由と見送った理由の3点を1ページにまとめた。いちばん安い案をそのまま推さず、撤去費と最低カウントで何を諦めるのかを書いたのが効いた。返還する機種のデータ消去だけは、リース会社の返還案内を取り寄せてから手順を決めることにした。

この記録をまとめたのは2026-10-06。更新の申し込みから設置までの段取りは導入までの流れで確認した(2026-10-15確認)。

想定枚数の置き方と、依頼メモに固定する条件

想定枚数は、直近12か月のカウンター実績から置く。季節で増減する業務なら、多い月と少ない月の両方を当てはめて、カウンター料金が基本料金を上回る月が何か月あるかを見る。1か月分の数字だけで置くと、更新後の請求額を見誤る。

依頼メモに固定するのは、月間のモノカラー枚数とカラー枚数、機種クラス、契約期間、保守範囲、両面とA3の数え方の5点。この5点が書かれていない見積書は、他社と並べる前に条件を聞き直す。カウンター単価と最低カウントの行は、単価が同じでも最低カウントが違えば月額が変わる(2026-10-15確認・カウンター料金の解説)。

見積書の有効期限、回答までの日数、明細の出し方も比較の材料になる。期限がそろわないときは、いちばん早い期限に合わせて判断する日を決めておく。ここは販売店ごとの運用差が大きく、この記事では一次資料を確認できていない。

更新を選ばない方がいい3つの場合

更新が常に正解ではない。次のどれかに当てはまるなら、乗り換えやダウンサイズを先に比べたほうがいい。

  • 月の出力が契約時の想定より大幅に少なく、カウンター料金より基本料金の方が高い状態が続いている。使っていない能力に毎月払い続けることになる。
  • 旧契約に残リース料が残っている。リース事業協会の説明どおり、期間中の解約は残リース料またはこれに相当する違約金の一括払いになる。解約して乗り換える案は、この一括額を含めた総額で比べる。
  • 5年を超えて同じ機種を使い続ける予定で、公開条件の6年目の8%増・7年目以降の12%増が効いてくる。同じ出力なら、更新の見積もりと買い替えの見積もりを8年総額で並べる。

反対に、月の出力が安定していて、保守範囲とカウンター定義が現行契約と変わらないなら、更新は検討の土台にしやすい。相見積もりは「安くする交渉」ではなく「条件をそろえる作業」として使う。

確認できていないこと

  • リース料そのものの内訳(物件価格・金利・固定資産税・保険料・管理費)は公開されない。公開単価からは出せない。
  • この記事の計算はリコー1社1機種の公開条件を、月2,000モノカラー・300フルカラーという仮の出力に当てたもの。他メーカー・他機種・他販売店の条件ではない。
  • 販売店の見積もり条件、控除の適用、初期費用、旧契約の残リース料は個別で、金額と販売店名は社内資料のため出していない。
  • 見積書の有効期限、回答速度、返還時のデータ消去の扱いは、公開された一次資料を確認できていない。
  • コピー機ドットコムの案内は販売店側の説明で、実際の納期・審査結果を保証するものではない。更新の見積もりでは、この窓口から複数社の条件をそろえて出してもらう使い方になる。