設備料金は、請求書の三つ目の欄です。先にその欄があるかを見て、金額の根拠を販売事業者に聞きます。値上げを拒否できる権利が省令にある、とは確認した資料には書いてありません。
新規契約か既存契約かで、請求の禁止範囲が変わる
契約を結んだ日が2025年4月2日以降なら、ガスの消費と関係のない設備費や賃貸で所有者が負担するはずの設備費の請求は、省令で禁止されています。それ以前からの契約はこの禁止規定の対象外で、三部料金への分離通知だけが新旧どちらの契約にも適用されます。
2026年10月15日にe-Gov法令検索で確認した現行の施行規則と、経済産業省の発表を、契約の種類で並べたのが次の表です。
| 規則の内容(根拠条文) | 2025年4月2日以降の新規契約 | それ以前からの既存契約 |
|---|---|---|
| 請求を基本・従量・設備の三つに分け、算定根拠を通知する(16条15号の7) | 義務として適用 | 義務として適用 |
| ガス消費と関係のない設備費の請求(16条15号の8) | 請求禁止 | 禁止規定は適用外。事業者には契約更新を速やかに行う努力義務(附則3条) |
| 賃貸で所有者が本来負担する設備費の請求(16条15号の9) | 原則請求禁止(負担方法の合意を除く) | 禁止規定は適用外(附則2条) |
| 賃貸借契約の前の料金表等の提示(16条15号の2) | 事業者は提示するよう努める義務 | 契約締結前の場面を対象とする規定 |
出典はe-Gov法令検索の施行規則( https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000400011 )、経済産業省2025年4月2日の発表( https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250402001/202500402001.html )、消費者庁の注意喚起( https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_038/ )で、いずれも2026年10月15日に確認しました。
既存契約が禁止規定の適用外というのは、附則の経過措置第二条の記載です。同じ附則の第三条は、販売事業者が改正後の規定を踏まえて必要な契約更新を速やかに行うよう努める、としています。既存契約だから何も言えないという意味ではなく、更新や見直しの相談で三部料金の契約へ移ることを求められます。
省令は、費用を三つに分けて通知する
2025年4月2日、経済産業省は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の改正のうち、三部料金制の部分を施行しました。同日の発表では、三部料金制は基本料金、従量料金、設備料金からなる料金です。
第16条第15号の7は、液化石油ガスの供給に係る料金その他の負担を請求するとき、費用を次の三つに整理し、算定根拠を通知する、としています。
- 消費した量にかかわらず生ずる費用
- その量に応じて生ずる費用
- 消費設備の貸与等に係る費用
経済産業省の発表は、この三つを基本料金、従量料金、設備料金と呼んでいます。同じ発表は、この通知を新規契約と既存契約の両方に適用する、としています。値上げの通知そのものの話と、設備費用を請求してよいかは、別の規則です。
設備料金の欄ができた背景
なぜわざわざ三つ目の欄を作ることになったのかは、2026年10月15日に確認した資源エネルギー庁の情報提供窓口のページ( https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/lpgass_tsuhoform/index.html )で説明しています。
- 「無償貸与」と呼ばれる商慣行: ガス事業者がエアコン、インターホン、Wi-Fi機器などを不動産関係者に無料で提供し、その費用を後日、消費者のガス料金として回収する仕組みです。
- 「貸付配管」と呼ばれる商慣行: 建物内のガス配管の所有権をガス事業者が持ったまま供給し、消費者が事業者を切り替えにくくなる仕組みです。
資源エネルギー庁は、この二つの慣行が「不透明なかたちでの料金請求」と「切り替えの制限」につながっていると説明しています。設備料金の欄は、この費用をガスそのものの料金と分けて見えるようにするためのものです。
請求しない、と書かれている費用
第16条第15号の8は、消費設備の配管および液化石油ガス器具等の設置等に係る費用以外を、消費設備の貸与等に係る費用として請求しない、としています。エアコン、インターホン、Wi-Fi機器の例は、2025年4月2日の経済産業省の発表に書かれています。
契約している人と建物の所有者が違う場合、第16条第15号の9は、所有者が本来負担すべき消費設備の貸与等の費用を、契約者に請求しない、としています。ただし、販売事業者と契約者の間で、その費用の負担方法について合意がある場合は除きます。
この二つの禁止は、2025年4月2日以降に締結される新規契約の料金にだけ適用されます。三つの欄に分ける通知とは、適用の範囲が違います。
各請求書が実際に三部料金の欄を持つかは契約・事業者ごとに異なる。欄がない請求書が違反とは限らないので、次は内訳を聞く手順です。検針票か請求書では、次の順で見ます。
- 基本料金、従量料金、設備料金が分かれているか。
- 設備料金の金額と、何の設備の費用と書いてあるか。
- その月の使用量(m³)と、従量料金の金額。
- エアコン、インターホン、Wi-Fi機器など、LPガスの消費と関係のない費用がガス料金に入っていないか。
- 賃貸なら、建物の所有者が負担するはずの設備費用が、入居者の請求に入っていないか。合意の有無は、契約書と大家か管理会社に確認します。
欄が無いとき、金額の意味が分からないとき
ここから先は、一般的な確認の手順です。個別の契約が無効か、支払を拒めるかは、この記事では判断しません。
- 販売事業者に、基本料金、従量料金、設備料金の内訳と算定根拠を聞いてください。設備料金なら、どの設備の、どの期間の費用かも聞きます。返事はメールか書面で残します。
- 商慣行として懸念がある情報は、資源エネルギー庁の「LPガスの取引適正化に関する情報提供窓口(通報フォーム)」( https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/lpgass_tsuhoform/index.html )が受け付けています。2026年10月15日に確認したページには、消費者と事業者のどちらからでも、匿名でも受け付ける、とあります。個別の事案で当事者に照会するときは、事前に情報提供者の了解を得る、とも書かれています。なお、この通報は調査・政策の材料であり、個別の返金や契約救済を直接約束しない。
- 自分の契約や請求の相談は、お住まいの消費生活センターか、都道府県の相談窓口に聞いてください。消費者庁の消費者ホットライン188( https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ )は、郵便番号などを入れると、最寄りの消費生活センター等の窓口を案内します。これは窓口案内であり、契約の有効性判断は個別相談となる。
確認した省令と、経済産業省の発表には、通知がなければ値上げを拒否できる、請求が自動的になくなる、とは書いてありません。
設備料金と、調査の平均は別の数字
石油情報センターの一般小売価格の調査( https://oil-info.ieej.or.jp/price/price.html )は、家庭用LPガスの使用量別の平均小売価格です。この調査は総請求額の平均で設備料金の内訳を含まない。地域差が大きく、全国平均は目安に留まる。各都道府県・各社の設備料金の分布は公表されていません。2026年8月調査(確報)の全国平均は次のとおりです。月額、消費税込みで、2026年10月15日に同センターの確報Excel( https://oil-info.ieej.or.jp/price/data/LP201104.xls )の「全国計」の行を照合しました。
| 使用量 | 全国平均の月額 |
|---|---|
| 5m³ | 6,016円 |
| 10m³ | 9,856円 |
| 20m³ | 17,186円 |
| 50m³ | 37,614円 |
検針票の使用量に近い列と、今の請求の合計を比べる目安は、プロパンガス料金チェックで計算できます。差額は入力値と平均から出した推計です。設備料金の欄がゼロでも、合計が平均より高いことはあります。逆に、設備料金があっても、合計が平均の近くにあることもあります。
持ち家の見積もりと、賃貸の相談
三つの欄を見たあと、持ち家なら料金チェックで都道府県の平均と比べ、見積もりを依頼できます。このサイトは、平均的な価格の会社に替えられることや、その後の料金を保証しません。2026年10月15日に確認したガスチョイスの公式サイトには、利用料金と値上げ保証の記載がありませんでした。そのため、無料であるとも、値上げ保証があるとも書きません。見積もりの条件は、公式の案内で確認してください。
賃貸の入居者は、ガス会社を選べません。2026年10月15日に確認した消費者庁の注意喚起は、賃貸借契約の前にLPガス料金の内訳を不動産業者等へ尋ねる内容です。なお、このページは賃貸の契約前確認を案内するページで、持ち家や既存入居者の個別判断は扱わない。大家の同意を得て供給事業者を選ぶ手順は、そのページには書かれていません。このサイトは、賃貸を選んだ画面に申し込みボタンを置きません。
- 検針票で、基本料金、従量料金、設備料金の内訳を見る。
- 大家か管理会社に、料金の内訳の説明や見直しを相談する。
- 返事はメールか書面で残す。
施行規則の第16条第15号の2は、消費設備が設置された建物の所有者と契約者が異なる場合に、販売契約の前に料金表等を提示するよう努めることを事業者に求めています。これは入居前の提示です。入居したあとは、大家か管理会社に相談してください。
記事が判断しないこと
- 一般的な情報です。個別の契約が有効か、設備料金を払わなくてよいかは判断しません。この記事は条文上の義務の確認であり、個別契約の効力判断はできない。
- 条文は、2026年10月15日にe-Gov法令検索が提供する現行の施行規則で確認しました。三部料金制の施行日と、新規契約だけに適用される部分は、同日に確認した経済産業省の発表と附則の経過措置によります。
- 経済産業省の発表ページの付属PDF(概要・Q&A)は自動取得で開けず内容未確認。2024年の公布・施行の発表ページは404のため附則の確認はe-Gov条文に寄せた。Q&A資料の個別事例の扱いは未確認です。
- 全国平均は、石油情報センターの2026年8月調査(確報)です。2026年10月15日に取得したExcelで照合しました。設備料金そのものの金額ではありません。
- 通報フォームの記載は、2026年10月15日に開いたページによります。




