七五三の写真を取り込んだ夜、フォルダを開いたまま、しばらく何もできなかった。

枚数が多いからではない。似た写真が多いからでもない。似た写真のどれにも、ちょっとずつ別の理由があった。正面を向いたのは着物がきれい。横を向いたのは、本人がいちばん本人っぽい。手水の順番を待っている後ろ姿は、写真としては地味なのに、その日のせわしなさまで入っている。

「いい写真を選ぶ」つもりで始めたのに、基準が全然足りなかった。

写真を三回、選び直した

一回目は、顔がきれいに写っている順。これはすぐに破綻した。娘だけを見るなら一枚、自分と妻も見るなら別の一枚。三人が同時にうまく写っている奇跡は、だいたい起きない。候補に星を付けては外し、また戻した。

二回目は、時系列順。鳥居、手水、参道、帰り道。これも悪くなかったけれど、写真を並べたら遠足のしおりみたいになった。ちゃんと記録にはなっている。けれど、ページを開いた瞬間に止まる場所がない。

そこで三回目は、写真を役割ごとに分けてみた。大きく残したい主役。一日の流れをつなぐ脇役。そして、他人に説明しにくいけれど自分だけは戻りたい場面。こう分けたら、さっきまで大渋滞だったフォルダに、やっと道ができた。

AIに候補を言葉にしてもらった

ここで使ったのは、写真を勝手に採点する道具としてではない。自分の中でぐちゃっとしている理由を、いったん文章にする相手だった。

最初はこう聞いた。

七五三のフォトブックを作りたい。似た表情の写真が多くて選べない。主役にする一枚、流れを見せる小さな写真、家族だけが覚えておきたい写真に分ける考え方を出してほしい。

返ってきた案は、きれいにまとまりすぎていた。「表情のよい一枚を主役に」と言われれば、その通り。でも自分が引っかかっていたのは、表情がいちばん整った写真ではなかった。着物の袖を少し持ち上げて、何かを見つけたように横を向いている一枚だった。顔は正面じゃない。けれど、あの日の本人はたぶん、ずっとこんな感じだった。

なので、聞き直した。

正面の決め写真より、少し横を向いていて、その日の落ち着かなさが見える写真を大きく残したい。うまく写っているかより、数年後にその日の空気を思い出せるかを優先するなら、ほかの写真はどういう役に分ける?

この二回目で、ようやく自分が探していたものが見えた。AIの答えを採用したというより、「あ、それ」と言える言葉が返ってきた感じだ。主役にするのは横顔。正面の決め写真は表紙候補。手水と参道は、流れをつなぐ小さな写真。それぞれの写真に、ページの中の席を決めていった。

写真も見ながら相談したい場合は、OpenAIの画像入力の案内のように、画像と一緒に「どこを見て、何を比べてほしいか」を書く(2026年10月15日確認)。たとえば候補をA・Bと呼び、「Aは着物が見える、Bは表情を残したい」と理由を添える。家族にしか分からない思い出は、写真だけでは伝わらない。印刷用の画素数と切れ方は、元データとしまうまの配置画面で別に確かめる。

しまうまプリントのフォトブック入門でも、先に一つのレイアウトを考え、お気に入りの写真を大きく置いたり、複数の写真でストーリーを作ったりする例が出ている(2026年10月15日確認)。自分も先に配置を考えることで、選ぶ理由を探していた。

四枚でつなぐか、一枚で止めるか

小さな写真は、弱い写真の寄せ集めではなかった。柄杓を持つ手、草履の先、妻の袖口、帰り道の紙袋。単体なら、たぶん最後まで残らない。でも四枚で置くと、その日の午後のせわしなさが戻ってきた。

逆に横顔は、四枚の中に混ぜると急に静かになりすぎた。そこで一枚だけ大きくする。正面でも、満面の笑顔でもない。自分の中でずっと引っかかっていた写真を、ここで主役にした。

同じ候補でも、置き方を替えると残るものが変わる。自分が迷ったところを並べると、こうなる。

写真の置き方 残したいもの 決める前に見るところ
手元や足元を四枚でつなぐ 一日の細かい出来事と順番 小さくしても、何をしているか分かるか
横顔を一枚で大きく置く 表情と、ページをめくる手が止まる感じ 顔だけでなく、見ている先も残せるか
正面の決め写真を表紙候補にする 何の記念の本かがすぐ分かること タイトルと重なる場所で、顔や着物が切れないか

しまうまプリントのフォトブック入門にも、一枚を大きく見せる配置と複数枚を組み合わせる配置がある(2026年10月15日確認)。表は、その配置の違いを自分の写真選びに当てはめたものだ。

四枚を一枚に減らすと、残りの三枚を捨てた気になってしまう。でもフォルダには残っている。本の中で大きく見たい写真を選ぶ、と考えた方が、自分は決めやすかった。

しまうまのページに入れる前に

しまうまプリントの編集へ進むとき、候補を全部並べてから迷い直さないように、フォルダ名の頭に自分で役を書いた。01_表紙候補、02_大きく残す、03_流れ。ちょっと事務的だけど、ここでまた「全部いい」に戻るのを防げた。

ページを開くところに一枚。場面を渡すところに四枚。説明が必要な写真には短い日付。そこまで決めてから入れると、レイアウトを前にしても手が止まりにくい。

写真を自動で選んでほしい人には、このやり方は回りくどいと思う。正解を早く一冊にしたいときには向かない。でも、どの写真を残したいか自分でもまだ言えないときには、先に言葉を探す時間があると助かる。最後に横顔を大きくしたのは、AIの案ではなく、自分がそのページを何度も見返したからだった。

しまうまで一冊にするなら、まず写真枚数とページ数の組み合わせを見て、主役の一枚を小さく押し込まずに済むページ数を選ぶ。写真が決まってからサイズを考える方が、自分は迷いが少なかった。