「会社の管理画面へ入るときだけ、接続元IPを固定したい」。この用途でVPSを探すと、固定IPオプションも契約すべきか迷います。

ConoHa VPSは、標準で固定IPv4が1個あります。固定の出口が1つ欲しいだけなら、追加IPを買うことから始めなくて大丈夫です。

ただし、VPSを借りただけで自宅のパソコンの接続元は変わりません。必要なのは、そのVPSを通る通信経路と、それを維持する担当者。自分なら、申し込む前にここを決めます。

固定出口1つを、二つの構成で比べる

IP許可リストに登録する出口が1つなら、標準IPv4を使う自前VPNと、VPSをTailscaleのexit node(出口ノード)にする構成が候補です。どちらも、サーバー側と接続する端末側の設定が必要になります。

確認すること 自前VPNを構築する想定 Tailscaleの出口ノードにする想定
インターネット側の固定IPv4 VPS標準の1個を使う VPS標準の1個を使う
端末の通信経路 VPNの接続と経路を自分で設定 出口ノードを有効化・承認し、端末で選択
管理サービスの予算 別の有料管理サービスを採用しない想定 業務ではStandard等の料金を別計上
VPSのOS更新・障害対応 自分または委託先 自分または委託先
向く条件 VPN設定や鍵の失効まで管理できる Tailscaleで利用者・端末の管理をまとめたい

Tailscaleを入れるだけでは、通常のWeb閲覧がVPS経由になるわけではありません。標準はTailscale参加端末間の通信で、インターネット向け通信には出口ノードの設定が要ります。管理画面で許可するのはTailscale内のアドレスではなく、実際に接続先が観測するグローバルIPです。

標準IPの仕様はConoHaのIPアドレスFAQ、経路の違いはTailscaleの出口ノード資料、業務料金は料金表で確認しました(確認日:2026-10-18)。FAQは固定IPの仕様を確認するために使い、追加IPの価格は現行料金ページを採用しました。

公式の構成説明を比較しており、VPNを構築して通信経路を実測した記事ではありません。

追加IPより先に、毎月の費用を三つに分ける

出口1つの想定なら、まず本体費、必要な場合の追加IP費、Tailscale等の管理サービス費を分けて見積もります。下表は通常Linux VPSの時間課金を月額上限まで使う場合の税込試算です。1GBと2GBは予算例で、VPNに必要なメモリを保証する値ではありません。

予算例 本体の月額上限 任意の追加IPv4 合計
1GB・標準IPのみ 1,065円 0円 1,065円
1GB・追加IPを1個 1,065円 424円 1,489円
2GB・標準IPのみ 2,033円 0円 2,033円
2GB・追加IPを1個 2,033円 424円 2,457円

計算は本体の月額上限に424円を足したもの。追加IPを12ヶ月持つ想定の追加分は 424円 × 12 = 5,088円 です。同じ出口1つのために買い足すなら、その5,088円、何のためだろう。自分が先に削るのはここです。

追加IPを検討するのは、別のIPを持つ必要がある設計が決まってから。追加しただけで端末ごとの出口が自動で分かれるわけでもありません。公式のVPS FAQには追加IPだけ30日間の最低利用期間があると記載されているため、短期利用ならこの条件も確認してください。容量は同時利用者数や転送量、暗号化の負荷を見て選び、導入前の検証で足りるか確認します。

Tailscale Standardを使う業務構成は、さらに契約席数分の費用がかかります。

Standardの契約席数 月額の計算 VPS本体とは別の予算
1席 8USD × 1 8USD
3席 8USD × 3 24USD
5席 8USD × 5 40USD

Personalは個人の非商用用途です。会社の許可リストに使う計画を「無料のはず」で進めず、業務の契約条件を確認してください。席数課金なので、その月に使った人数だけの請求と決めつけないこと。Tailscaleの費用は米ドル表示のままとし、為替換算や税額は計算していません。

出典はConoHa料金・スペックとTailscale料金表(確認日:2026-10-18)。編集担当が上の単価を入力し、加算と乗算をプログラムで計算しました。料金表による試算で、通信速度・安定性・実際の請求額は測定していません。

長期契約を選ぶ前に、固定IPを維持する期間を決める

継続運用するなら、時間課金の月額上限と、まとめトクの初回・更新料金を分けて見ます。2GBのまとめトク1ヶ月契約は、確認時点で初回1,007円、更新1,259円。上の時間課金2,033円とは契約の条件が違います。

まとめトクは期間分を一括前払いし、期間中の途中解約はできません。更新せず期間が終わると対象サーバーは削除されます。業務の固定出口にするなら、値段と一緒に更新担当・支払い方法・終了日を決めておきたいところです。

料金ページの2026-10-18時点の表示による比較です。初回価格はキャンペーン等で変わるため、申し込み時の初回総額と更新条件を確認してください。短期検証の保持時間と削除までの費用は、時間課金の試算に分けています。

運用担当を置けないなら、自前VPSは選ばない

固定IPが必要でも、OS更新や接続障害に対応する人がいないなら、自前VPSを業務の入口にするのは勧めません。Tailscaleを使っても、出口になるVPS自体の管理がなくなるわけではないからです。

契約前に、接続先の管理者と次をそろえてください。

  • データセンター由来のIPを接続先が受け入れるか。IPだけで認証を済ませず、利用者ごとの認証も維持する。
  • 誰がVPN・OSを更新し、紛失した端末や退職者の接続権を止めるか。
  • 障害時に誰へ連絡し、出口が止まっている間の業務をどうするか。
  • VPN経由と直接通信を切り替えたとき、IPv4・IPv6を含め接続先に見えるIPが想定どおりか。

これは導入前に埋める設計条件です。会社の接続規則に合うか分からないまま、先にサーバーだけを借りると手戻りになります。

ConoHaはroot権限を利用者へ渡し、OSの操作等は利用者自身が行うサービスと案内しています(VPSについて、確認日:2026-10-18)。管理まで任せたい人は、運用込みの固定IP接続サービスを含めて選び直す方が合います。

削除する前に、許可リストの引継ぎまで終える

IPを維持したい間は、サーバーを削除しない運用が必要です。公式FAQではサーバーを削除するまで同じIPで、停止しても契約に応じた料金が発生するとされています。

廃止するときは、接続先の管理者と新しい出口の許可を済ませ、疎通を確かめ、古いIPの許可を外してからサーバーを削除します。自分なら、許可リストの更新連絡先まで契約前のメモに残します。削除後に同じIPアドレスを取り直せる前提では計画しないでください。

根拠:VPSについてのFAQ(確認日:2026-10-18)。

出口は1つ、運用担当も決まっている。その条件がそろうなら、ConoHa VPSの標準IPから構成を検討できます。追加IPの契約より先に、経路と月々の予算を決めてください。

ConoHa VPSの新規申込入口は2026-10-18に確認しました。新規申込の入口まで確認し、アカウント登録・注文・在庫の確定は行っていません。